降圧薬は「就寝前」に服薬すべき?

2019年11月10日 月曜日

高血圧の方を拝見する場合に、出来る限りご自分でご家庭で朝と晩に血圧を測定していただくようにしております。そうすると、大抵の方は朝が高く、夜が低いと言うパターンになります。特に飲酒をしている方ではその傾向が著しいと思います。その場合に朝の血圧を抑えるために、就寝前に降圧薬を服用していただくことをしております。

今回、降圧薬は起床後ではなく、就寝時に服用するとよいかもしれないという研究結果が、ビーゴ大学(スペイン)アトランティック研究センターのRamón Hermida氏らによって発表されました。降圧薬を就寝時に服用すると、特に夜間の血圧が低下し、起床後の服用に比べて心筋梗塞脳卒中心不全の発症リスクやこれらの心血管疾患(CVD)で死亡するリスクがほぼ半減すると報告されました。

https://academic.oup.com/eurheartj/advance-article/doi/10.1093/eurheartj/ehz754/5602478

 この臨床試験は、「Hygia Chronotherapy Trial」と呼ばれ、2008年から2018年にかけて、スペイン北部在住の18歳以上の高血圧患者1万9,084人、平均年齢60.5歳を平均6.3年間追跡し、全ての降圧薬を朝内服する群と、就寝前に内服する群に2分割しました。そして、それぞれの群での心血管疾患の発症、死亡を比較しました。

上の図が結論のグラフで、降圧薬を就寝前に内服することにより、朝内服よりも様々な疾患の危険が半分近くに減少していることを示しています。

これまで私達が自分の経験に基づいて行っていた治療法の正しさが裏付けられた結果だと思います。

ホームページを一新しました

2019年11月10日 月曜日

今回、私のパソコンのOSがバージョンアップされ、これまでホームページ作成に使っていたiWebが使えなくなってしまいました。そのため、急遽、WordPressにホームページを移植することになりました。

いろいろとドメインの移管など面倒な手続きがありましたが、なんとか無事に移植が完了し、今、こうしてご覧いただいているようなホームページになりました。

iWebはスマホには対応していなかったのですが、今回のWordPressではPC用に作成しても、自動的にスマホ用に要素を再配置してくれますので、スマホで見やすいホームページになったと思います。

これを機に、しばらくお休みしてたブログの更新もまた、コツコツとして行こうかなと考えております。

どうぞよろしくお願いいたします。

久石譲とビートルズ

2018年8月26日 日曜日

 帰宅するために車を運転していると、iPodから久石譲のメロディーが流れてきていました。曲は次々と変わり、「人生はメリーゴーランド」が流れてきました。僕の大好きな曲なのですが、車の中、高速運転中なので、結構な騒音の中で聞いているわけですが、何か曲の後ろに別な音楽が聞こえて来るように思います。繰り返して聞いて見ると、やはりメインのメロディー、伴奏の他にそれとは直接関係ない別なリズムや楽器の音が聞こえてきます。

 早速、家で静かに聞き直して見たのですが、やはり主なメロディーの裏にいろいろな楽器が、メインのメロディーとは別の音程やリズムで無関係風に重なって聞こえます。その重なりによって、聞いている僕は例えば遊園地やサーカスなどのただ中にいて、こちらである音楽がなっていて、遠くからはまた別な曲がもっと小さい音で重なって流れているように複数の音楽が同時に耳に入ってくるような感覚に陥り、まさに自分が遊園地あるいはサーカスの真っ只中にいるような感覚にとらわれます。

 でも、この感覚はどこかで感じた覚えがある。そう思ってよく考えてみると、どうもビートルズのような気がする、そして、ビートルズの音楽的な時期を考えるとSgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Bandの頃の1曲ではないかと推定し、Youtubeで確認して見ました。やはりありました。Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Bandの中の一曲、Being for the Benefit of Mr. Kite!のオーケストラ、オルガンのインストルメンタルな伴奏の部分がワルツを演奏しているのですが、その裏に別なリズム、メロディーが重ねられて遊園地、サーカスのような感覚を醸し出していました。

 おそらく、久石氏はこの曲を聞いていてそこに「人生はメリーゴーラウンド」編曲のインスピレーションがあるのではないかと感じました。

 その推測からWikipediaの「久石譲」の項目を調べて見ました。4歳から鈴木バイオリンに通ったバイオリン少年だったことなど、これまで知らなかったことがたくさん書いてあって、なかなか面白かったのですが、次のような一節がありました。

 中学生の時、ビートルズの音楽に新鮮なショックを受け、ほとんどの曲をギターで弾けるようになったが[76]、高校生の時からクセナキスシュトックハウゼン武満徹黛敏郎らの作品に取り憑かれ、現代音楽作曲家を目指すようになる[77]。

出典 https://ja.wikipedia.org/wiki/久石譲

 というようなわけで、やはり久石氏は Being for the Benefit of Mr. Kite!を聞いていたに違いないと思います。また、そのほかの情報を調べてみると、久石譲著書「感動はつくれますか?」(2006年)という中で、ハウルの動く城の誕生秘話が書かれています。それによると

『交響組曲 ハウルの動く城』は、名門チェコ・フィルハーモニー管弦楽団が演奏し、トラックダウン(音の仕上げ)はロンドンのアビーロード・スタジオ。あのビートルズで有名なアビーロード・スタジオで録ったのである。

出展 https://hibikihajime.com/blog/25526/

 なんと、ハウルの動く城も Being for the Benefit of Mr. Kite!同じ、ロンドンのアビーロード・スタジオで録音されていました。

 久石氏がビートルズからの影響を自分の音楽を埋め込んでいるということに初めて気がつき、芸の細かさに感動した1日でした。

追伸

 ここで書いている「人生はメリーゴーラウンド」はサウンドトラックに限っての話です。ライブ、その他の編曲ではそういう音は全く入っていません。

参考

 Youtube

「人生はメリーゴーラウンド」

 ピアノがソロでテーマをゆっくりと1度演奏し、テンポを上げてもう1回目テーマを繰り返し、その後の展開部の途中から徐々に弦の音、打楽器、木管楽器、金管楽器がメインの伴奏のようだったり、メインの曲とは無関係な顔をしたりしてピアノの裏にちょこちょこ入ってきます。曲の中ほどで、序奏が繰り返され、ピアノソロがかっちりとメインテーマを繰り返し、その後、ピアノとオーケストラの合奏になったところ以下が今度は初めの時とは違ってもっと大手を振ってメインのメロディー、伴奏以外のいろいろな音がとても複雑に重ねられています。

「Being for the Benefit of Mr. Kite!」

生命保険業界の新たな試み

2018年8月13日 月曜日

 今年の特別な猛暑の中、皆様はいかがお過ごしでしょうか?

 お盆休みでのんびりとテレビを見ていたら、南アフリカのDiscovery社のVitalityという保険を日本の保険会社がタイアップして扱うことになったというニュースが流れていました。

 この新しい保険の仕組みは蓄積されたデータベースから予想される確率に対して保険料を支払うという従来の保険に対して、自分が健康的な生活(食事、運動)をするかどうかにより保険料が−30%から+10%の範囲で上下するというもので、これまでの受動的な保険に対して能動的な保険と言えると思います。

 我が身を振り返ると、自動車があればそれで移動した方が歩くより楽ですし、美味しいものがあればそれを飲んだり食べたりしますし、それが人間の本能だと思います。経済的に余裕があれば 運動が不足し、過食になるのはある意味、 必然と思われます。

 その一方で、地球上では経済的に恵まれない地域でかなりの割合の人が飢餓に苦しんでいます。

 従来、肥満、生活習慣病などは個人の問題とされ、日本でも生活習慣病対策として特定健診、指導などが行われ、ちょうど10年となりました。しかし、どれだけの効果があったかは明らかにされておりません。また、医療費の削減よりも検診費用の方が大きくなるのではとの疑問の声も当初からありました。

 私としてはこのような問題は個人の問題ではなく、富、食料、その他の地球規模の不均等分布の問題と考えていました。

 しかし、現在の資本主義、自由主義の世の中では、このような不均等分布は必然と思われます。例えば余計な消費(あるいは輸入)に対してはなんらかのペナルティを課す、必要最低限のものについては課税対象外にするなど、このような不均等な消費を社会的に食い止めるような対策が必要なのではないかと考えていました。

 今回の保険は、運度をすればするだけ保険料が安くなる、野菜、果物については割引制度というインセンティブを加えることにより、従来、単に運動をしなさい、こういう食事をしましょうと指導していたのよりはるかに効率的に運動、食事の問題に切り込んだと言えます。また、それにより保険会社は保険金支払いの面でメリットがあり(そうでなければこのような商品は成り立たないことになります)、国にとっても国は一銭も使わずに医療費削減につながる可能性があります。

 ニュースでは南アフリカの平均寿命63歳に対して、この保険に加入している人は81歳と大幅に寿命が長くなったと報じていました。(ただし、この保険に入れるようなクラスの平均寿命が63歳ということはないのではないかと思いますが.)

 いずれにせよ、公的な枠組みではなく、このような民間企業の枠組みにより先進国の肥満という問題に対しての一定のブレーキがかけられる可能性が示されたことは素晴らしいことだと思います。

 次に、飢餓の問題に対しても民間からの解決に向けたアプローチが考え出されるといいなと思います。

佐野市健康大学

2017年10月14日土曜日

2017年10月12日、佐野市中央公民館で佐野市健康大学が開催され、私が「心臓病 知っておいた方がよいいくつかのこと」の題で1時間のお話をさせていただきました。天気の悪い中、多くの熱心な方々がお集まりになってくださいました。

 その時の内容をアップしたいと思います。お見えになれなかった方々、お話を聞いていただいた方々、どちらの方々にもご理解の助けになればと考えております。

人工知能と囲碁

2017年1月9日月曜日

 今回は人工知能による囲碁のお話です。囲碁のわからない方には全くつまらない話かと思います。ご容赦下さい。

 囲碁でコンピュータが人間に勝つのは、10年以上先のことと言われていました。

 2016年3月、GoogleグループのDeep Mind社が作り上げた人工知能、Alpha Goが囲碁ランキング世界1位の棋士イ・セドル九段を4勝1敗で打ち破り、コンピュータが史上初めて人間を破ったということで大変なセンセイションを巻き起こしました。

 2016年末には、ネットにGod Movesという打ち手が現れ、趙治勲名誉名人と1勝2敗と接戦を演じた日本製囲碁ソフトDeep Zenに対して1手5秒で打ち進め3連勝と圧倒しました。

 更にはMasterを名乗る打ち手が現れ、日中韓のトップ棋士を相手に60戦全勝という圧倒的な強さを見せつけました。1月5日、Google社はMasterがAlpha Goの改良版であることを公表しました。

 世界に冠たるGoogleグループが人工知能開発の材料として数あるゲームの中でも囲碁を取り上げたことがまず囲碁好きとしてはうれしいことでした。

 棋譜を見てみるとコンピュータはとにかく強いです。決して無理な手を打たず、一度も形勢不利な場面もなく、危なげなく勝っている印象です。コンピュータの打った手を見ていると囲碁では決して無理をする必要がなく、逆に無理に頑張るのはかえって自分が不利になってしまう危険が高くなるだけだということがわかります。

 次に、棋譜を見ていて、ヘボの私なりにコンピュータの打った手をいい手だな思うことがしばしばでした。囲碁というのは最終的な勝負は盤面でどれだけ広い面積を囲うかの勝負ですが、コンピュータは実利(とりあえずその時点で自分の地になる可能性が高いと思われる場所)よりも厚み(今後、相手の石を攻めたり、広い範囲に影響力を及ぼせるであろう状態)重視の手が多いという印象です。特にAlpha Goとイ・セドル九段との五局では宇宙流と言われる武宮正樹九段を彷彿とさせました。また、一見どういう手なのか意味がわからないような手が何手か進むと結果的に好手になっているという点では、江戸時代の本因坊道策を思わせます。

 今回の正体不明のMaster(おそらく人工知能とは推測されていましたが)の登場に対して、日中韓の錚々たるトップ棋士が進んで挑んで行ったこと、相手がコンピュータとわかり、コンピュータに敗れても相手の強さを率直に認め、最強の棋士が現れたかように喜んで受け入れ、囲碁の真理を求める手段としてポジティブに捉えていることに大変感動しました。故藤沢秀行九段は囲碁の神様が100わかっているとすると自分が分かっているのは6くらいとおっしゃったそうです。もともと日本の囲碁は江戸時代に本因坊家を中心に動いており、歴代の名人碁所(徳川幕府の認めた名人)は盤上一番価値の高い手を一手一手積み重ねて行き、淀みのない美しい棋譜を残すという姿勢であったように思います。もちろん勝負という面はありましたが、白番と黒番で何局か戦って勝ち負けを決める番碁が勝負の場でした。ところが明治期になりスポンサーの幕府はなくなり、主に新聞社をスポンサーとして一局ごとに読者に勝ち負けを見せるコミ碁(先手の黒に4目半から現在では6目半勝たねばならないというハンディキャップをつけ一局で勝負をつける)になり、盤上での真理の追求からコミを意識した打ち方、勝負というのがより重要な要素となり、近年の中国、韓国の棋士の台頭によりこの傾向が一層顕著となりました。そうした中で盤上の真理の追求はちょっと霞んでいた感がありました。

 今回の人工知能の出現で囲碁界全体が、勝負は勝負として、盤面の真理を追求する面に少し揺り戻されるのではないかと思います。

 これからMasterを始めとする人工知能の打った一手一手の理解が進み、囲碁の新しい常識、考え方を盛り込んだ囲碁の解説書が続々と出てくるのではないかと予想され、それを読むことができる日がとても楽しみです。

ベンジャミン ブリテン 青少年のための管弦楽入門

2016年2月28日日曜日

 イギリスの作曲家、ベンジャミン ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」は1945年に作曲され、ヘンリー パーセルのテーマ(譜1)を元にオーケストラの各楽器で変奏してゆく曲です。パーセルのテーマをオーケストラの各楽器がフルート→オーボエ→クラリネット→ファゴット→ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロ→コントラバス→ハープ→ホルン→トランペット→トロンボーン、チューバ→ティンパニー→大太鼓、シンバル→タンバリン、トライアングル→小太鼓、木魚→シロフォン→カスタネット、ドラ→ムチと次々にフィーチャーし、最後に全部の楽器で譜1に示したテーマ(テーマ Aとします)を変形したテーマ(譜2)( テーマA’ とします)に基づくフーガを演奏して締めくくります。それぞれの楽器の音色の違い、特徴などを分かりやすく解説されます。題名の通りクラシック音楽入門者のために作曲された曲です.私が子供の頃は小学校か中学校かは忘れましたが、音楽の授業で習いましたので、私と同年輩の方にはおなじみの曲だと思います。

譜1 テーマA (譜1は♭が1つ付いています イ短調)

譜2 テーマA’ (譜2は♯が2つ付いています ニ長調)

ネビルマリナー、NHK交響楽団の演奏です。

パーセルのアブデァザールからのロンド(Rondeau from Abdelazer)が原曲です。

 学校で習ってから特別にこの曲を聞き直すとかレコードを買うとかすることはなく、学校で習う曲ということで なんとなく軽く考えておりました。ところが、たまたまテレビでネビルマリナー、NHK交響楽団の演奏を聴いたところ、とてもすごい曲なのでびっくりしました。この曲はわかりやすいだけでなく、変奏がそれぞれの楽器の音色、特徴に合わせたとてもうまくできています。それよりも何よりも最後のフーガ、そのまた最後の二重フーガが感動的です。それまで初心者のためにシンプルに書いていた筆が一挙に爆発したような複雑で壮大なフィナーレだと思います。

 初めて二重フーガのフィナーレを聴いた時は、たまたま指揮者マリナーが3/4を3拍子に振っていたのですが、金管がその振りと別のテンポでパーセルのテーマを吹いていて、音楽が一体全体どういうことになっているのか全くわからなかったのですが、その後、スコアを探して確認し、二重フーガの構造がわかりました。(譜3)

譜3(いずれも♯が2つ付いています)

譜3の一段目はクラリネットですが、譜2のフーガのテーマ A’ をそのままに演奏しています。一方、譜5段目の金管は譜1のテーマ Aをそのまま演奏しますが、テーマAの2分音符が1小節に引き伸ばされ、譜3の6小節がテーマ Aの2小節分のメロディーになっています。(譜1を引き伸ばしたものを下に対比しました。)

 指揮者により金管のメロディーを小節単位で付点二分音符を1拍で振るタイプと、マリナーのように絃楽器、木管の3/4の細かいリズムを4分音符を1拍に振るタイプとがあるようです。前者のように付点二分音符を1拍に小節単位で振られた時に、絃楽器、木管楽器の細かい音符を揃えるのは私にとっては至難の技のように思いますが、プロにとっては何でもないことなのかもしれませんね。

 最後のフーガの部分のみのムービーですが、1969年の若き小澤征爾、シカゴ交響楽団のキビキビときっちりした演奏が素晴らしい。2分3秒のところから二重フーガになります。(それぞれの楽器のフィーチャーされた部分部分にムービーが分割されていて、全部集めれば全曲になります)

Youtubeにはその他にもいろいろな演奏がアップされておりますが、代表的なものをいくつか

ユッカ・ペッカ サラステ指揮 ケルンフィルハーモニーの演奏 二重フーガでは金管のメロディーを小節単位で振っています。

演奏のムービーはありませんが、ブリテン自身の指揮による演奏

プロムスでの演奏 これを見るとイギリス人はこの曲が大好きなんだなと判ります。この指揮者は最後の二重フーガを金管楽器のメロディーのラインを小節単位で振っています。

シャルル デュトア指揮 ディトアは最後の二重フーガを3拍子で振っています。やはり見ていてわかりやすい指揮ですね。

皆さん、最後の二重フーガの構造がお分かりになりましたでしょうか?

番外編

この曲を基にしたゲーム音楽もあるようです。

スーパーファミコンのWizardry Ⅴ ウィザードリィ5のOpening

スーパーファミコンのWizardry ⅤI ウィザードリィ6のOpening

Alfred Burtのクリスマスキャロル

2015年11月22日日曜日

 今年も街にはクリスマスの音楽が流れる季節となりました。クリスマスの音楽といえば昔ならジングルベル、最近ではチャイコフスキーのくるみ割り人形、賛美歌などですが、私のお薦めはAlfred Burtのクリスマスキャロルです。

 Alfred Burtは1920年に生まれ1954年、私の生まれる1年前に33歳の若さで亡くなったアメリカのミュージシャンです。ちょうど私にとっては自分の父親くらいの世代になります。

 彼は小さい時からコルネットを吹き始め、主にコルネット、トランペットを演奏し、特にジャズに興味を持っていたようです。

 彼の父親Bates Burtは牧師で、自作のクリスマスキャロルの詩やメロディーをクリスマスカードにして家族や信者の方に送っていましたが、1942年にその仕事を息子のAlfredに依頼しました。それ以後、Alfredがそれを書くことになり、そこからAlfred Burtのクリスマスキャロルが生まれました。

 彼のクリスマスキャロルはあくまで、彼のmailing listにある身近な人たちだけが知るものでしたが、1952年に著名な合唱団が彼の”Come, Dear Children”を歌って、その曲を大変気に入り、彼の曲を歌いたいということから地域の外に名が広まり、ハリウッドに知られる存在となりました。

 しかし、その翌年の1953年には、彼は健康を害し、精密検査の結果、末期の肺がんと診断されました。それを知ったコロンビアレコードの社長が彼のそれまでに作曲した作品に新作の3曲を加え、特別に合唱団を編成し彼の立会いのもと、彼の曲の最初のアルバム”Christmas Mood”が作られました。

 彼は1954年2月5日に最後の曲”Star Carol”を書き上げ、翌々日の2月7日に亡くなりました。

以下は彼の作曲した15曲のリストです。

1.”Christmas Cometh Caroling” (1942)

2.”Jesu Parvule” (1943)

3.”What Are the Signs” (1944)

4.”Ah, Bleak and Chill the Wintry Wind” (1945)

5.”All on A Christmas Morning” (1946)

6.”Nigh Bethlehem” (1947)

7.”Christ in the Stranger’s Guise” (1948)

8.”Sleep Baby Mine” (1949)

9.”This Is Christmas” (also known as “Bright, Bright, the Holly Berries”) (1950)

10.”Some Children See Him” (1951)

11.”Come, Dear Children” (1952)

12.”O, Hearken Ye” (1953)

13.”Caroling, Caroling” (1954)

14.”We’ll Dress the House” (1954)

15.”The Star Carol” (1954)

 現在、彼の15曲のキャロルはナット・キング・コール、ケニー・ロギンズ、ジョージ・ウィンストン、ジェイムズ・テイラー、サイモンとガーファンクル、シンガーズアンリミテッド、ジョン・ウィリアムズなど著名なミュージシャンによってレコーディングされています。

 現在、You Tubeで聞くことができる主なものは、以下の通りです。(自分の備忘録も兼ねていますのでちょっと長いリストになりました。)

 クリスマスに是非、御一聴ください。

Alfred Burtの初めてのアルバム全曲を聴くことができます。(残念ながら2019/5/12時点で削除されておりました。

Night Bethlehem Singers Unlimitedの超名演です。

Caroling, Caroling これもSingers Unlimitedの名演です。

Ah Bleak & Chill The Wintry Wind Bell Epoqueという日本人のコーラスグループの演奏です。

Caroling, Caroling Nat King Coleのヴォーカルです。

Caroling, Caroling とても現代風なアレンジです。

Some Children See Him ゴスペル調のアレンジです。

Some Children See Him ポップス調のアレンジです。

Caroling, Caroling

Caroling, Caroling, / We’ll dress the house

Star Carol

We’ll dress the house

All  on a christmas morning とても格調の高い演奏です。

Some Children See Him 残念ながら2019/5/12時点で削除されておりました。

This is Christmas (Bright, Bright, the Holly Berries ) 演奏は決して上手とは言えませんが、編曲、雰囲気はなかなかのものだと思います。はじめの1分間は曲の説明が入りますので飛ばしてください。(残念ながら2019/5/12時点で削除されておりました。

Jesu Pervule

What are the Sings ハーブの演奏ですが、作曲された当時の第二次世界大戦のニュース映像、音声が入ります。とてもその当時の雰囲気が出ていると思います。(残念ながら2019/5/12時点で削除されておりました。

Christ in the Stranger’s Guise

Sleep Baby Mine

Come, Dear Children

Oh Harken Ye はじめに曲の説明が入り演奏は0:35から始まります。

「人間ドック学会、健康基準を緩和」は本当か?

2014年4月20日日曜日

 今週、外来診療をしていて、何人かの方から「最近、高血圧の基準が高くなったらしいですね?」との質問を受けました.私はそのような認識がなかったので、診療が終わったあとインターネットで調べたところ、日本人間ドック学会と健康保険組合連合会が血圧の基準値を発表し、「血圧や肥満度などについて健康診断や人間ドックで『異常なし』とする値を緩めると発表した」とマスメディアが報じたということを知りました.

 結論から言えば、このような基準値は医学的に意味はなくこのような基準値を発表する事自体が反高血圧治療キャンペーン、もっといえば医療費削減キャンペーンの一環だと私は考えます.

 以下、上に書いた結論の私なりの解説をしたいと思います.

 ここでまず基礎知識として、一部の二次性高血圧症(血圧を上げる明らかな原因がある高血圧、全体の1割以下)を除き、高血圧症の大部分を占める本態性高血圧症(明らかな原因が見いだされない)は病気ではなく、血圧が高い状態の方をそう名付けているという事です.これを身長に置き換えてみれば、「高身長症」というようなものです.

 それでは一般の病気と、高血圧、高身長とはどう違うのでしょうか?

 例えば肝臓の指標であるGOT, GPTなどで考えてみましょう.横軸に検査の数値、縦軸に患者の数をとり、グラフにすると検査値の分布は図1のように2つの山になります.すなわち左側の山の病気のない群と右側の山の病気を持っている方に分かれます.(多少中央部分は重なりを持ちますが)

 図1

 一方、血圧ではどうなるかというと

 図2

 図2にご覧の通り1つの山になります.

 いろいろな検査値についていわれている基準値というものはどういうものなのでしょうか?

 図3

 図3は図1の左側の正常群の山だけ取り出したものとお考えください.この図で示すように正常者の検査値の平均値を中心に95%のとる数値(平均値±2x標準偏差SD)を基準値と読んでいます.つまり基準値から外れるという事は他の人とはかなり違った値である事を示しています.これは図1で示すような肝臓の病気などのように分布が2つの山になるような疾患では、正常群の中の一番右側のはずれの2.5%の人はむしろ正常群の山に入るのではなく、疾患群の山に入るのではないかということを疑う訳です.つまり、2つの山のどちらの山に入るのかを判断するために基準値が用いられる訳です.

図1 再掲

一方、血圧、身長でこのような基準値を持ち出しても,外れた人が別な疾患群という山に入る訳ではなく一つの山の中にいる訳ですからなんの区別をする必要もなく、単に、他の人より並外れて血圧が高い、身長が高いというだけで、医学的には何の意味も持ちません.身長2mのバスケットボール選手をだれも病気とは言わない訳です.

 それでは現在用いられている高血圧の基準というのはどのようなものなのでしょうか?

 図4

 図4は久山町という九州にある町の住民の血圧値とそれぞれの血圧値の方の脳梗塞の発症率をグラフにしたものです.このグラフをよく見ると男女ともに血圧が140を超えると脳梗塞の発症率がそれ以下の方の倍以上に高くなることが判ります.その他多くの血圧の研究で高い血圧値と脳、心臓、腎臓などの病気が増える事が示されています.

 また、そのような血圧の高い方をお薬で血圧を下げるとそのような病気を減らす事ができる事が示されています.

 このような医学的な事実の積み重ねから高血圧治療が成り立っています.

 図5

 それでは高血圧の基準はどのように決められているかという事ですが,図4の久山町の研究、図5にはNIPPON DATA80という研究の結果を示しました.図4の久山町の結果を見ると140くらいから危険が急に増えるように見えますし、図5の若年者では160くらい、75歳以上では120から危険が高くなるようにも見えます.

 ですからどのレベルから高血圧に対するお薬の治療を開始するかは客観的に明確にいくつというのは難しい問題です.つまり、降圧治療を始める血圧レベルを低くすれば脳梗塞の発症数は下げられますが,薬を飲まなければならない方の数は多くなり、ひとつの脳梗塞を防ぐために必要な高血圧治療患者数は大きくなり、医療費はかさむことになります.また、治療開始の血圧レベルを高くすれば医療費は節約できますが,本来高血圧治療をしていたら脳梗塞の発病を防げたはずの人数が増えることになります.

 そのような中で,どの程度の血圧から治療を開始する事が医学的に妥当かというところから現在の140という基準が設けられている訳です.

 以上のような訳で今回の人間ドック学会の示した基準値というのは現在病気を持っていない方の中である血圧値のというのが5%以下の少数派なのか95%の多数派なのかを知るという意味しか持ちません.別に将来の病気の発症、危険ということについて何も言っていません.これは人間ドックの身長欄に基準値をつけるのと同じようなものです(実際には身長欄に基準値は書かれていないと思いますが).

 これ以上血圧が高いと病気の危険が高くなります、あるいは血圧をそれ以下に下げると病気が減らせますという高血圧学会の高血圧の基準に対して、これからの病気の発症の事は考えず、単に現在、病気のない人の血圧値は95%の人はこの範囲に入りますよという人間ドック学会の基準値をもってきて、あたかもそれが高血圧治療の基準の代替になるかのような発表、報道は言語道断だと思います.

 このことを肺がんに例えていえば、現在、肺がんのない方の喫煙本数の分布を持って来て、95%の方が入る範囲を持って、その本数まではタバコを吸っても大丈夫ですよと言うようなものです.

 皆様に置かれましては医学的には全く意味のない数字に踊らされる事のないよう切に希望いたします.

ロシュフォールの恋人たち

2013年9月23日月曜日

 「ロシュフォールの恋人たち」は「シェルブールの雨傘」と対になる1967年に制作されたジャック・ドゥミ、ミシェル・ルグランのコンビによる傑作とされています.何故かこれまでなかなか見る機会がありませんでしたが、今回、連休を利用して、初めて見る事ができました.結論は予想を超える素晴らしい作品でした.

 まず、序曲風の音楽をバックにロシュフォールでの年に一度のお祭りにあわせて当地に乗り込むジョージ・チャキリスを初めとする芸人一行の姿が映し出され、そしてロシュフォールの町の中心の広場に到着し、「キャラバン隊の到着」の音楽にのって一行の踊るシーンがあり、そしてそのまま広場に面して開かれた窓から部屋の中に滑らかにカメラが入り込み、子供たちにバレーを教えるカトリーヌ・ドヌーヴの姿が映し出され、じきにレッスンが終わり、ドヌーヴとフランソワーズ・ドルレアックによる「デルフィーヌとソランジュ姉妹の歌」と一気にこの映画の作り出す世界に引き込まれます.このオープニングはYouTubeで見ることができます.

 この映画の素晴らしい点は数多くありますが、主役のカトリーヌ・ドヌーヴ、フランソワーズ・ドルレアックの姉妹を始め,旅芸人のジョージ・チャキリス(ウェストサイドストーリーなど)、楽器店の店主役のミシェル・ピッコリ(これまで見た出演作は悪役ばかりでしたが,今回の役はとても一途でとてもいい人です)、アメリカの作曲家の役のジーン・ケリー(ご存知「雨に唄えば」その他数々のミュージカルに出演)、姉妹の母のダニエル・ダリュー(「うたかたの恋」など)、水兵で画家のジャック・ペラン(「ニューシネマパラダイス」のトトの中年になってからの役など)など素晴らしい俳優が揃っている点です.

 次に、音楽はもちろんミシェル・ルグランの絶頂期の作で悪いはずがありません.次から次に素晴らしい曲が流れます.

 衣装、美術も素晴らしく、基調になるのはパステルカラーの明るい色彩です.姉妹の服、帽子の色、ジーン・ケリーのポロシャツとジャケットの色などフランスならではのセンスだと思います.

 プロットも大変うまく出来ていて,すれ違いあり、10年間の別離の後の再会もあり、偶然の出会いもあり、見ていてハラハラさせられますが,最後に急転直下、縺れた糸が解けるようにそれぞれのカップルが落ち着くところに落ち着きます.

 また、姉妹のお爺さんの友人役のアンリ・クレミューがいい味を出していますが,皆さんをちょっと驚かせるかもしれません.

 というような訳で、どこをとっても見所満載で、個人的にはミュージカル映画のベストの1つと言っても良い傑作だと思います.