Shazam

2021年10月17日(日曜日)

雨の日曜日。皆様はいかがお過ごしでしょうか。今年は特に天候が不順で秋らしい晴天が見られず残念です。私は相変わらずステイホームで週末は撮り溜めたビデオ鑑賞三昧で、ドキュメンタリー、趣味の番組を主に見ています。

その時に映像の裏で流れている音楽がとてもいい音楽なんだけれどもなんという曲だろうかということがかなりあります。その時に大変役立つのが、本日のタイトルでもある音楽認識アプリShazamです。

すでに皆様お使いかもしれませんが、このアプリはスマホの内臓マイクで音楽を聞き取り曲名、演奏者を即座に表示してくれます。私の印象としてはポピュラーはほぼ100%、相当マイナーな曲、クラシックでも90%以上の正答率だと思います。さらにはApple music、Spotifyと連携しています。

AppleによりますとShazam は、市販されている楽曲の「一意のデジタル指紋を作成し、聞き取った曲を Shazam データベース内の何百万もの楽曲と照合して、曲認識を行っています。」とのことです。

レストランで食事をしている時に魅力的な女性ボーカルの曲が流れてきました。そこでこのアプリを使ってみたところ、本当に一瞬でNo Moon At All、ニッキ パロットと曲名、歌手名を示してきました。食事を終わり、帰りのお会計のところに今日の音楽の表示がしてあり、ニッキ パロットとあったので本当にびっくりしました。これが私のShazamを使った初めての経験でした。

それ以後、ビデオを見るのにスマホを片手に、気になるバックグラウンドミュージックが流れるとその曲をShazamで確認するというような見方をしています。

そんな中で色々気づくことがあります。

まず自分がその名を全く耳にしたことのない素敵なアーチストがたくさんいることです。クラシック音楽のように聞こえる曲が実はクラシックの作曲家ではなく、映画、TV番組など放送音楽を主に作っている方とかジャズミュージシャンが結構作っているんですね。そもそもクラシック音楽の作曲一本で進むのは現在の社会では難しいということかもしれません。

また、音楽だけでは聴き続けるのが難しいようなかなり前衛的な音楽も映像とともに耳に入ると全然抵抗なく心に入ってくるということに気がつきます。逆に現代音楽を紹介するのに映像を補助手段として使うという手もありそうですね。

というようなわけで録画番組を見ると番組そのものを楽しめると同時に、新しい曲、新しいアーチストを知ることができ、2倍に楽しむことができるようになりました。

Shazamをまだ使っていない方。是非おすすめです。

佐野厚生総合病院院長村上円人先生とご一緒させていただきました

2021年7月29日木曜日

今日は佐野厚生総合病院院長の村上円人先生のご講演で座長をさせていただき、久しぶりに先生とお目にかかることができました。

1980年代、慶應義塾大学病院で医学部を卒業したばかりの研修医時代の先生と短期間ですが同じ病棟でお仕事をさせていただいたことがあります。先生は医者になりたてのその頃からご自身のお考えを持ってそれに従って診療を進めている様が見え、研修医の中でも際立った存在でした。

私は循環器研究室、村上先生はその後、猿田先生の主宰する腎臓内分泌代謝研究室に入局され、道が分かれましたが、巡り巡って佐野の地でご一緒できることになったわけです。

本日の講演では微量アルブミン尿の重要性、特に先生が日野市立病院時代に市議会、行政を巻き込み、また、測定器まで開発して立ち上げた微量アルブミン尿検診のお話、原発性アルドステロン症のスクリーニングを降圧薬内服下で行うというユニークな取り組み、トルバプタン導入を日帰り入院で行う取り組みなどのお話をいただきました。どのお話も日常診療に大変有益で、私もすぐに取り入れたいと思いました。また、先生の色々なアイデアを考えつくだけでなく、様々な職種を巻き込んでそのアイデアを実現してゆく行動力に感服しました。

話題の転換点では先生自身が撮影された佐野市牧町の麦秋の風景、桜の風景などの美しい写真を見せていただきました。

また、1980年代、村上先生はMac SEを私はMac IIcxをほぼ同じような金額で(結構高額でした)購入したこととか、安岡正篤の六中観のことなど色々お話を伺うことができ、久々に愉快な時間を過ごすことができました。

ブルーインパルスが見えた

2021年7月23日(金曜日)

今日は朝からのんびりと撮りためたビデオを見ていましたが、ふと、ブルーインパルスが飛ぶ日と気が付き、インターネットで飛行時間を確認するとちょうどその時間。外を眺めにベランダに出ると、ジェット機の音が聞こえ、周りのマンションのベランダ、屋上にも見物の人が出ているので、間に合った!と、眺めているうちにカラースモークを引き編隊を組んだジェット機が見え、慌てて写真を撮っている数秒のうちに飛び去り、千駄ヶ谷方面へ。千駄ヶ谷上空で五輪を描くのが見えるかとも思いましたが、千駄ヶ谷方面は低い雲がかかり、また、低空で五輪を描くせいか、残念ながらカラースモークも見えなくなってしまいました。

57年ぶりのブルーインパルスの五輪飛行、これがおそらく人生最後の機会と思うと、オリンピック開催に懐疑的な僕でもグッとくるものがありました。

バーブラ ストライサンド

2021年5月5日(水曜日)

連休も最後の1日となりました。

今回は歌手のバーブラ ストライサンドを取り上げてみました。バーブラ ストライサンドというと「追憶」(The Way We Were)などが代表曲になるのでしょうか?アメリカの偉大な女性ヴォーカルですが、私は元々あまりポピュラーを聞く機会がなく、ほとんどバーブラの曲を知りません。クラシックばかり聞いている中で、たまたまバーブラとの接点ができ、とても感動しましたので、そのことを書いてみたいと思います。

「追憶」くらいは流石に私の耳にも入っていましたが、それ以上バーブラの曲を聞いてみようということはありませんでした。1976年にClassical Barbra(上の写真です)というアルバムが作成されており、バーブラがクラシックの曲を歌うということで、一体どうなるのかという興味で聞いてみたのが意識してバーブラを聞いた最初になります。

この中のクラウス オーガーマンによるI Loved Youというアルバムの最後の曲が、このアルバムの中で飛び抜けて素晴らしい演奏だと思います。そもそもI Loved Youという曲が、プーシキンの詩にオーガーマンが曲をつけたものなのですが、プーシキンの詩が素晴らしいです。以下が、プーシキンの詩の英語訳です。

I loved you,
I love you still too much;
But forget this love
That pressed sadly against you will.
I loved you in silence, without hope,
But true, jealous afraid.
I pray that someone
May love you again the same way.

この曲はLovedと過去形になっていることからもわかるように、もうすでに終わってしまった女性への愛を思い、最後に、誰かが彼女のことを自分と同じように大切に愛してくれることを祈るという詩です。この詩を読んでいくと初めは自分のことを書いているのですが、一番最後にthe same wayという歌詞が耳に入ってきて、どんでん返しのようにあ、そういうことなのかと心に響きます。

英語訳を調べると最後の2行について色々な訳があり、結末が全然変わってしまうのですが、オーガーマンの選んだ英訳がとても切なくて一番いいと思います。実際のところはどうなのかロシア語で原詞を理解できればいいなと思います。

とりあえず、YouTubeからの引用です。とても素晴らしい曲です。是非、ご一聴ください。

この詩の日本語訳を探している中で、ある方のブログでこの曲のことが出てきました。(http://artsandscience-kipling.blogspot.com/2015/02/)このブログでは私がこの曲を初めて知った、シンガーズ アンリミテッドの演奏からこの曲について書かれています。

シンガーズ アンリミテッドの演奏はRobert Farnonの編曲も独特の音色で素晴らしいと思います。

I Loved Youはこのくらいにして、もう一曲、書いてみたいと思います。この曲はクラシックとポピュラーのフュージョンであるイツアーク パールマンのCinema Serenadeというアルバムの中にあったPapa, Can You Hear Meという曲です。

この曲をとても気に入ったのですが、作曲が「シェルブールの雨傘」、「ロシュフォールの恋人たち」など数々の名曲を生んだ巨匠ミシェル ルグランということで、なるほどとうなずきました。元々はYentlというバーブラが監督、主演をした映画の主題歌と知り、バーブラの原曲を聞いてみました。

この動画を見ていただくとバーブラの凄さがわかると思います。一流の歌手はその世界観の中に聞くものを瞬く間に引き込みますが、この動画もまさにその典型例と思われます。

最後の休日、お楽しみいただけたら嬉しいです。

Information Is Beautiful

2021年5月3日(月曜日)

ゴールデンウィークを皆様どのようにお過ごしでしょうか?今回はInformation Is Beautifulというサイトを取り上げたいと思います。(https://informationisbeautiful.net

このサイトは色々なデータを美しいグラフにまとめてくれていて、色々なことを楽しみながら学ぶことができます。特に、グラフなので量的なところがものすごく明快になります。

今日のトップにはCOVID-19 Coronavirus Data Dashboardとして新型コロナウイルスの広がり、ワクチン接種の状況などが美しいグラフになっています。上下にスクロールすることにより、色々なグラフを見ることができます。国が固定されて日本のデータが見られないグラフもありますが、グラフによってはJapanと入力すると日本のデータも見ることができます。様々な情報がわかりやすく、しかもたっぷりと詰め込まれていますので、ぜひご覧ください。(https://informationisbeautiful.net/visualizations/covid-19-coronavirus-infographic-datapack/#activities

続 コロナ時代のボレロ

2021年4月18日(日曜日)

新型コロナウイルスの第4波がこれからどこまで大きな波になるか大変心配な今日この頃です。にもかかわらず、ニュースによれば街には多くの人出があるようです。やはりこの時期はStay Homeを心がけた方が良いと考えます。

前回、コロナ時代のボレロということでこれまで見られなかったオーケストラの顔をご紹介しました。今回はその続編ということでソリストに焦点を当ててみたいと思います。

写真はマキシムとリサのヴェンゲーロフ父娘によるマルチェッロのアダージョ(マルチェッロのオーボエ協奏曲第2楽章をヴァイオリンとピアノ用に編曲)の別荘?での演奏です。

ヴェンゲーロフのお嬢さんはまだ小学生低学年くらい?かと思いますが、父親のヴァイオリンを感情豊かにサポートしています。まさに父親譲りの音楽の才能を感じます。

演奏の背景も気になってしまいます。部屋の様子も映っていますし、窓からはこの建物が湖畔に立っていることもわかります。また、部屋の奥のソファーでは下のお嬢ちゃんが寝そべって二人の演奏を聴いています。Vengerovの優しい父親ぶりがみて取れるように思います。

参考までに父Maximの13−4歳の演奏もご覧ください。

次の動画も同じくマキシム・ヴェンゲーロフのホームコンサートです。こちらは全く別のテイストのお部屋ですので、おそらく先程の動画は別荘なのでしょうね。こちらのお部屋では後ろの本棚にかなり古い本?楽譜?が並んでいて、どんな本あるいは楽譜なのかがとても気になります。それから、ピアノはベヒスタインを使っているのですね。

次は中国のピアニストランランのホームコンサートです。演奏もさることながら、他の音楽家に比べて立派なお部屋ですね。

最後はチェリストのスティーブン イッサーリスの動画です。ここでの注目は画面の中央机の正面の写真です。下には偉大なチェリスト、パブロ カザルスと思われる写真がありますが、その上には写真右に口髭を生やしたグルーチョ、中央にもじゃもじゃ頭のハーポ、左にチコの三人が並んだマルクス兄弟の写真が飾られていて、彼がマルクス兄弟のファンなんだとちょっと驚きました。

コロナの動向が不気味な今日この頃ですが、休日は楽しく自宅で過ごしましょう。

Ivry Gitlisを偲んで

2020年12月27日 日曜日

今年も暮れようとしていますが、コロナウイルスに翻弄された一年で、クリスマスも霞んでしまったような感があります。そのクリスマスイブにイスラエルのヴァイオリニスト、イヴリー・ギトリスが98歳で亡くなりました。

私がギトリスを初めて聴いたのは大学生の頃でした。その頃の私には、ギトリスの独特なヴィブラート、独特な音程などが癖の強い音楽と聞こえ、決して好きなタイプのヴァイオリニストではありませんでした。

その後、私も歳を重ね、音楽体験を積むうちに、彼の個性を受け入れ、楽しめるようになり、更には現代の画一的な演奏にはない彼独自の個性を好んで聴くようになりました。

そうこうしているうちにインターネットの時代になり、YouTubeでギトリスの壮年期から老年期までの様々な演奏が見聞きできるようになりました。

壮年期(おそらく1960年代、今から50年以上前と思われます)のいくつかの演奏をアップさせていただきます。これらを現在の一般的な演奏と比べていただくと音程、リズムなど彼の際立った個性がお分かりいただけるかと思います。

次は音声のみで、バルトークのヴァイオリン協奏曲第2番第1楽章の冒頭部です。

次の動画はやや晩年の演奏で、音声のみとなりますが、フォーレの「夢のあとに」のとても素晴らしい演奏だと思います。

次の動画は2012年90歳の頃、パリ市庁舎での東北大震災の展示会で、奇跡の一本松での自身の写真パネルの前で「浜辺の歌」を演奏しています。

このように彼は晩年まで公開の場で活躍され、まさに大往生だったと思います。

最後にこの文章を書くにあたり、最晩年(おそらく3年前95歳の時と思われます)の映像と思われる動画を見つけました。この動画ではParadisのSicilienneを弾いていますが、これを見ると音楽は正しい音程とか正しいリズムとかではなく、どれだけの思いを演奏に込められるかにかかっているということを実感させられます。どうぞこの動画をご覧になって彼を偲んでいただければと思います。

MINIATURE CALENDAR

La La Laundry

2020年11月1日 日曜日

皆さんいかがお過ごしでしょうか。

今回はたまたまネットサーフィン中に見つけたMINIATURE CALENDARというサイトを紹介したいと思います。

このサイトはミニチュア写真家・見立て作家の田中 達也氏のサイトです。

以下、サイトの作者紹介の文章を引用します。

Profile

田中 達也
ミニチュア写真家・見立て作家。1981年熊本生まれ。2011年、ミニチュアの視点で日常にある物を別の物に見立てたアート「MINIATURE CALENDAR」を開始。以後毎日作品をインターネット上で発表し続けている。国内外で開催中の展覧会、「MINIATURE LIFE展 田中達也見立ての世界」の来場者数が累計100万人を突破(2019年11月現在)。主な仕事に、2017年NHKの連続テレビ小説「ひよっこ」のタイトルバック、日本橋高島屋S.Cオープニングムービー森見登美彦著「熱帯」の装画など。Instagramのフォロワーは250万人を超える(2020年6月現在)。著書に「MINIATURE LIFE」「MINIATURE LIFE2」「Small Wonders」「MINIATURE TRIP IN JAPAN」など。

とにかく、2011年4月20日から1日も休まず作品の写真をアップし続け、更に、今年の7月からはメイキングの動画までアップし続けている驚異的なサイトです。

上の写真は2020年10月15日のLa La Laundryと名づけられた作品です。クラリネットを洗濯機に見立てています。様々な見立てがとても素晴らしいのですが、1日1作を9年以上続けている持続力、尽きない想像力に驚嘆します。

是非、一度ご覧ください。

CarionとMorgan Library and Museum

2020年8月13日 木曜日

現在、お盆休みをいただいておりますが、相変わらずのStay Homeで音楽を聴いて日々過ごしております。今日はダリウス・ミヨーの「ルネ王の暖炉」から始まり、木管五重奏の曲を次々と聴いていましたところ、Carionというデンマークの木管五重奏のグループに出会いましたので、そのことについて書きたいと思います。(Carionのホームページもご参照ください。)

このグループは音楽的に素晴らしいのですが、その上に、クラシックの音楽家には珍しく、立ち位置を変えたり、お互いに顔を合わせたりというアクションというかパフォーマンスというかが入っていて音楽の主旋律、仕組みがわかりやすく、特にリゲティーの様な現代曲を聴く上ではとても聴く上での手助けになっていました。それだけではなく、動画の撮影場所がこれがまたとてもいいところなんです。で、とても気に入った動画がありました。

この動画では王宮の様な美術館の様なお部屋でカール・ニールセンの五重奏曲を演奏しています。


次の動画ではジャック・イベールの3つの小品をやはりイベールなのでフランスの古い建物でしょうか?演奏をしています。

3番目の動画では素晴らしい図書館で演奏しています。ヨーロッパのどの古い図書館かと思ったのですが、実はNew YorkのMorgan Library and Museumでした。

動画を見ていただければわかるのですが、音楽もさることながら、この図書館に圧倒されてしまいました。詳細はMorgan Library and Museumのホームページ(https://www.themorgan.org )あるいはWikipediaのモルガン・ライブラリーの項(https://ja.wikipedia.org/wiki/モルガン・ライブラリー )を見ていただければと思いますが、世界の富の何分の1を持っている財力によるコレクションがすごい。

以下、Wikipediaからの引用です。

収蔵品には、インキュナブラ、出版物、ヨーロッパの芸術家の絵画などを含んでいる。例としてレオナルド・ダ・ヴィンチミケランジェロ・ブオナローティラファエロ・サンティレンブラント・ファン・レインピーテル・パウル・ルーベンストマス・ゲインズバラアルブレヒト・デューラーパブロ・ピカソが挙げられる。また初期に印刷された聖書であるグーテンベルク聖書を3冊保有し、他にも多くの本がきれいな状態で製本されている。他にも古代エジプトの資料や中世の礼拝物(コプト文学など)や、エミール・ゾラウィリアム・ブレイクの描いた職の書アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ星の王子さまパーシー・ビッシュ・シェリーのノート、ロバート・バーンズによる詩、チャールズ・ディケンズが手書きで、編集・校正したクリスマス・キャロルの原稿、ヘンリー・デイヴィッド・ソローによる雑誌、ベートーヴェンブラームスショパンマーラーベルディモーツァルト交響曲第35番の本人直筆の注釈付き楽譜、ジョルジュ・サンドウィリアム・メイクピース・サッカレージョージ・ゴードン・バイロンシャーロット・ブロンテウォルター・スコットアイヴァンホーを含むそれぞれの小説の原稿が収蔵されている。これらの収蔵品の中には1907年から1911年の間にモルガンによって集められたオールド・マスターの絵画(ハンス・メムリンクペルジーノ、チーマ・ダ・コネリアーノ(英語版)の作品)も含んでいるが、これらの作品は収蔵品として注目されることは無く、ドメニコ・ギルランダイオの傑作であるジェバンニ・トルナブオーニの肖像画は大恐慌の時にモルガン家の財政のためにハインリヒ・ティッセンに売却された。

更に、この図書館を作ったジョン・ピアポント・モルガンの生涯もとても興味深いものでした。(Wikipediaのジョン・モルガンの項をご参照ください。https://ja.wikipedia.org/wiki/ジョン・モルガン

今回は、音楽の話からMorgan Library and Museumに話が逸れてしまいましたが、Carionの音楽、背景となっている建物どちらも素晴らしいので是非、ご視聴いただければと思います。

ベートーベン 生誕250年

2020年7月5日 日曜日

父の日にページオープナー(楽譜が閉じないようにする金具)とエコバッグ(楽譜用??)をいただきました。エコバックのデザインはベートーベンの横顔でその周囲にはベートーベン250回目の誕生日と書かれていました。その時初めて今年がベートーベンの生誕250年ということに気づきました。すでに半年が経ってしまっておりました。私の大学生時代、1977年がベートーベンの死後150年目に当たっていました。その時はもっとそのことが注目されていたように思いますが、今年になって半年間、私は生誕250年の放送、記事、広告、話題その他に触れることはありませんでした。これは私が音楽の世界から離れてしまったと言うことなのか、クラシック音楽が社会の中で存在が小さくなってしまったということなのか、もしかしたらその両方かも知れません。とても寂しかったり、申し訳なく思ったりしました。

その罪滅ぼしというわけではありませんが、とても偉大なベートーベンなのですが、その中でも以前からこれはすごい、どうしてこうなるのかわからない、こんなことを考えつくのは天才と思っていた箇所について少しお書きしようと思います。(このほかにも弦楽四重奏曲第6番作品18−6第3楽章も凄いのですが、これについてはまた改めてお書きしたいと思います。)なにぶん、素人ですのでご専門の方から見たら見当はずれかも知れませんが、ご容赦ください。また、この部分についてご教授してくださる方がいらっしゃれば大歓迎です。

上の楽譜はレオノーレ序曲第3番の終結部(コーダ)への導入部分の第一バイオリンのパート譜です。基本の拍子は2分の2拍子、1小節に2分音符が2つですから、8分音符であれば1小節に8つということになります。第一バイオリンから始まり、6つの8分音符の下降音型で始まりますが、ちょうど楽譜1段目の最後から8分音符7つの下降音型に変わり、上から2段目の4小節目、cresc.(クレッシェンド)から7拍の上行音型に変わり、楽譜3段目2小節目の最後から拍子どおりの8つの8分音符の上行音型となり、最後8分音符3つのアウフタクト+8部音符8つの音型(本当はどう数えるのかはよくわかりませんが、)で楽譜5段目のコーダに突入します。

この間に第一バイオリン単独(楽譜にはバイオリン2−3挺でと書いてあります)から始まった音楽に、下降音型から上行音型になった部分から第二バイオリンが加わり、さらに8分音符8つの音形になった部分からビオラが加わり、その後半からはチェロ、コントラバスが加わり弦楽器のTutti(総奏)となって、音楽は盛り上がりその勢いで楽譜5段目コーダに突入します。

この部分を聞いていると、初めの8分音符6つの下降音型のところはついて行けるのですが、8分音符7つの下降音型のところでリズムを見失い、でも音楽のエネルギーはどんどん増してゆき、最後に8分音符8つのところで迷い道から抜け出た様な安心感、解放感を感じつつ、オーケストラ、観客が一体となり、エネルギー最大限の状態でコーダに飛び込むことができます。

なかなかわかりずらい文章になってしまいましたが、百聞は一見に如かず、百聞は一聴に如かずで動画をご覧いただくのがよろしいと思います。

下の動画はギューター・バントの演奏ですが、指揮は小節の頭を振っていますので小節の頭と音型の関係が比較的わかりやすいと思います。12分30秒から上の楽譜の冒頭Prestoが始まります。

次は1977年3月2日、ちょうどベートーベン 死後150年の年のカール・ベーム、ウィーン・フィルの来日公演のライブです。このムービーでは12分48秒からPrestoが始まります。実はこのコーダに入る前の12分40秒の部分でベームの棒がわかりにくく、オーケスストラの一部が1拍早く出てしまっています。プロでもこんなことがあるんだなと思いますが、そのためにウィーン・フィルに気合が入り、迫力のあるコーダになったとも言われています。

残念ながら上の動画は削除されてしまいました。

代わりに1962年のクナッパーツブッシュ、ウィーンフィルの悠然たるテンポの演奏をお聞きください。上の楽譜の部分は動画の15分39秒からになりますが、クナッパーツブッシュはゆっくりと初めて、次第にアッチェレランドして行くのでとても音符を追いやすい演奏だと思います。

ベートーベン大先生、本当に失礼をして申し訳ありませんでした。