ベンジャミン ブリテン 青少年のための管弦楽入門

2016年2月28日日曜日

 イギリスの作曲家、ベンジャミン ブリテンの「青少年のための管弦楽入門」は1945年に作曲され、ヘンリー パーセルのテーマ(譜1)を元にオーケストラの各楽器で変奏してゆく曲です。パーセルのテーマをオーケストラの各楽器がフルート→オーボエ→クラリネット→ファゴット→ヴァイオリン→ヴィオラ→チェロ→コントラバス→ハープ→ホルン→トランペット→トロンボーン、チューバ→ティンパニー→大太鼓、シンバル→タンバリン、トライアングル→小太鼓、木魚→シロフォン→カスタネット、ドラ→ムチと次々にフィーチャーし、最後に全部の楽器で譜1に示したテーマ(テーマ Aとします)を変形したテーマ(譜2)( テーマA’ とします)に基づくフーガを演奏して締めくくります。それぞれの楽器の音色の違い、特徴などを分かりやすく解説されます。題名の通りクラシック音楽入門者のために作曲された曲です.私が子供の頃は小学校か中学校かは忘れましたが、音楽の授業で習いましたので、私と同年輩の方にはおなじみの曲だと思います。

譜1 テーマA (譜1は♭が1つ付いています イ短調)

譜2 テーマA’ (譜2は♯が2つ付いています ニ長調)

ネビルマリナー、NHK交響楽団の演奏です。

パーセルのアブデァザールからのロンド(Rondeau from Abdelazer)が原曲です。

 学校で習ってから特別にこの曲を聞き直すとかレコードを買うとかすることはなく、学校で習う曲ということで なんとなく軽く考えておりました。ところが、たまたまテレビでネビルマリナー、NHK交響楽団の演奏を聴いたところ、とてもすごい曲なのでびっくりしました。この曲はわかりやすいだけでなく、変奏がそれぞれの楽器の音色、特徴に合わせたとてもうまくできています。それよりも何よりも最後のフーガ、そのまた最後の二重フーガが感動的です。それまで初心者のためにシンプルに書いていた筆が一挙に爆発したような複雑で壮大なフィナーレだと思います。

 初めて二重フーガのフィナーレを聴いた時は、たまたま指揮者マリナーが3/4を3拍子に振っていたのですが、金管がその振りと別のテンポでパーセルのテーマを吹いていて、音楽が一体全体どういうことになっているのか全くわからなかったのですが、その後、スコアを探して確認し、二重フーガの構造がわかりました。(譜3)

譜3(いずれも♯が2つ付いています)

譜3の一段目はクラリネットですが、譜2のフーガのテーマ A’ をそのままに演奏しています。一方、譜5段目の金管は譜1のテーマ Aをそのまま演奏しますが、テーマAの2分音符が1小節に引き伸ばされ、譜3の6小節がテーマ Aの2小節分のメロディーになっています。(譜1を引き伸ばしたものを下に対比しました。)

 指揮者により金管のメロディーを小節単位で付点二分音符を1拍で振るタイプと、マリナーのように絃楽器、木管の3/4の細かいリズムを4分音符を1拍に振るタイプとがあるようです。前者のように付点二分音符を1拍に小節単位で振られた時に、絃楽器、木管楽器の細かい音符を揃えるのは私にとっては至難の技のように思いますが、プロにとっては何でもないことなのかもしれませんね。

 最後のフーガの部分のみのムービーですが、1969年、若き小澤征爾、シカゴ交響楽団の演奏で、私の中ではベスト1の演奏です。落ち着いたテンポでとてもきっちりした演奏です。何といってもシカゴ交響楽団のそれぞれのプレーヤーがとても上手くて、楽器から次の楽器へと変奏されたテーマがとても滑らかに引き継がれて行きます。よく考えてみると今から50年前の演奏ということになるわけですが、若き小沢の名演であり、フリッツ・ライナーに鍛え上げられた黄金時代のシカゴ交響楽団の実力がよくわかる演奏だと思います。2分3秒のところから二重フーガになります。(それぞれの楽器のフィーチャーされた部分部分にムービーが分割されていて、全部集めれば全曲になります)

Youtubeにはその他にもいろいろな演奏がアップされておりますが、代表的なものをいくつか

ユッカ・ペッカ サラステ指揮 ケルンフィルハーモニーの演奏 二重フーガでは金管のメロディーを小節単位で振っています。

演奏のムービーはありませんが、ブリテン自身の指揮による演奏

プロムスでの演奏 これを見るとイギリス人はこの曲が大好きなんだなと判ります。この指揮者は最後の二重フーガを金管楽器のメロディーのラインを小節単位で振っています。

アンドレ プレヴィン指揮 スコアがついていますので、ぜひ二重フーガの部分(フーガが14分22秒から始まりますが、16分19秒から二重フーガになります)をスコアと共にお聞き下さい。弦楽器、木管の3/4拍子の16分音符ベースの細かい変奏の音形と金管の3/4拍子を付点8分音符ベースで4拍子的に動く主旋律とが並行して響く複雑さがよくわかります。

皆さん、最後の二重フーガの構造がお分かりになりましたでしょうか?

最近、アップされた動画です。サイモン ラトルが指揮をしいますが、最後の二重フーガの部分(2分57秒から)を3拍子で振っていて、これもわかりやすいと思います。

番外編

この曲を基にしたゲーム音楽もあるようです。

スーパーファミコンのWizardry Ⅴ ウィザードリィ5のOpening

スーパーファミコンのWizardry ⅤI ウィザードリィ6のOpening

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