心拍数を遅くすると心臓に良いのか?

2008年9月18日木曜日

9月6日号のLancetに心拍数を遅くする薬剤によって落ち着いた狭心症あるいは心臓の働きの悪い方の心臓イベントが減るかどうかを調べた研究が発表されました.
Ivabradine for patients with stable coronary artery disease and left-ventricular systolic dysfunction (BEAUTIFUL): a randomised, double-blind, placebo-controlled trial Lancet 2008; 372: 807–16
今回の研究の対象はおよそ12,000人の狭心症で心臓の働きが中等度以上に低下している方です.使われた薬は Ivabradine といって、洞結節のIf電流を抑制することによって心拍数が71回/分から約6拍/分遅くなりました.今回の研究で目的とした、2年間の死亡、心筋梗塞による入院、心不全悪化による入院の合計は実薬、偽薬の群の間に有意な差は認められませんでした.ただし、もともとの心拍数が70回/分以上の方については実薬群の方が心筋梗塞、不安定狭心症による入院、血行再建術が少ないという結果でした.
心拍数が70以上の虚血性心不全に対しては従来のβ遮断薬にIvabradineを上乗せする価値はありそうです.

カテーテル治療の効果はいつまで続くのか?

2008年9月10日水曜日

Effect of PCI on Quality of Life in Patients with Stable Coronary Disease
W. S. Weintraub and Others  N Engl J Med 2008;359:677-87

近年、狭心症に対する、PCI(カテーテルによる治療)は隆盛を極めています.しかし、安定狭心症(症状の落ち着いている狭心症)の方に対する効果に関してこれまでの研究結果では、少なくとも長期予後を良くするという結論は得られていません.(つまり、安定狭心症の方がPCIを受けたからといって長生きにはならないということ.)それでは、PCIにより症状は薬のみの治療に比べて、どのくらい良くなるのかというのを調べたのがこの研究です.
この研究では、薬物療法でもPCI+薬物療法でもかなり症状はよくなります.改善の程度は始めはPCI+薬物療法の方が大きいのですが、その効果の差は24ヶ月しか続かなかったことが判りました.つまり、PCIは狭心症を押さえたい場合には選択肢となりますが、その効果は2年ほどと考えておいた方が良さそうです.