
2022年11月19日土曜日
2022年10月7日から21日かけて行われた第16回ヘンリク・ヴィエニャフスキ国際コンクールで日本の前田妃奈さんが優勝しました。コンクールの模様はYouTubeで配信されていましたので、ちょっとだけ覗いてみたら前田妃奈さんがちょうどブラームスのヴァイオリン協奏曲を弾いていました、ちょっと覗くだけのつもりでしたが、第1楽章のヴァイオリンソロの始まりの部分を聞いてとても素晴らしい演奏に惹きつけられ、そのまま、曲の最後まで聞いてしまいました。ちょど聴き始めの第1楽章のヴァイオリンのソロの開始の部分、2オクターブ以上をまさに火のように上昇、下降する音型をしっかりを足を据えて、上半身は微動だにせず、少し顔を揺らしながら弾いている姿は20世紀の大ヴァイオリニスト、ダヴィッド・オイストラフとそっくりに見えました。
彼女の音楽はビブラートがとても綺麗で音が魅力的です。緩やかなテンポでヴァイオリンが歌うときの音楽の表情がとても美しい。それよりも何よりも彼女の音楽には強い説得力があり、彼女の感じた音楽の精神がヴァイオリンの音に乗せて聴衆にまっすぐに伝わるところがすごいと思います。彼女の中に音楽がいっぱい詰まっているからだと思います。将来がとても楽しみです。
以下のYouTubeのリンクから彼女の音楽をぜひお聞きください。
まずは本選のブラームスのヴァイオリン協奏曲。これはとても素晴らしい演奏です。演奏後、前田さん、聴衆、指揮者、オーケストラのメンバー、みんなの幸福な表情がこの演奏の素晴らしさを伝えていると思います。
ちなみにこの演奏で使われていたのはストラディヴァリウス1715年製ヴァイオリン「ヨアヒム」だと思われます。この協奏曲の作曲に深く関わり、またこの曲の初演者であるハンガリーのヴァイオリン奏者ヨーゼフ・ヨアヒム(1831-1907)が所有していたことから「ヨアヒム」と名付けられています。ヨアヒムの所有した3挺の1715年製のストラディヴァリウス・ヴァイオリンのうちのひとつで、ヨアヒムはブダペストでこのヴァイオリンを購入し、ヨアヒムの死後、ヨアヒムの兄弟の孫娘で、ヨアヒムからヴァイオリンのレッスンを受けていたアディラ・ダラーニ(d’Aranyi)に遺贈され、アディラはアレクサンダー・ファッチーリ氏と結婚し、それ以来、このヴァイオリンはファッチーリ家が所有、日本音楽財団が2000年9月にファッチーリ家からこの楽器を購入、2022年8月31日から、前田妃奈さんへ貸与されました。これも何かの縁ですね。(https://www.nmf.or.jp/instruments/post_283.html)
次は、コンクールの名前になっているヴィエニアフスキの協奏曲第2番。これも素晴らしい演奏ですが、曲そのものがやはりブラームスには敵わないですね。
次はモーツアルトのシンフォニアコンチェルタンテ
次の2つの動画はソロ及びピアノとの共演で1次予選と2次予選の映像です。
彼女が13歳の時のバッハの協奏曲2番です。この頃からはすでに素晴らしいヴァイオリニストですね。
このほかにもYouTubeを「Hina Maeda」で検索すると、多くの動画がアップされています。ぜひ、お聞きいただき、彼女を応援していただければと思います。
ちなみに彼女のTwitterを見ると20歳の女子大生らしい言葉が並んでいて、さらに親近感が湧くと思います。(https://twitter.com/HinaMaeda_vn)
