
2020年2月24日 月曜日
今日は朝から東京都美術館で開催されている美術展、「ハマスホイとデンマーク絵画」に行ってきました。
2年ほど前、国立西洋美術館に行った時に、常設展に展示されている《ピアノを弾く妻イーダのいる室内》(上の絵)を見て、とても心惹かれたのですが、その後は特に触れ合うこともなく、そのままになっていました。今回、「ハマスホイとデンマーク絵画」ということでハマスホイをまとめて見られるチャンスを得ました。
ヴィルヘルム・ハマスホイ(ハンマースホイと記載される場合もあります)は1864年に生まれ、1916年に亡くなっていますから、ちょうど明治になる直前に生まれ、明治が終わって間も無く亡くなったということになります。
上の絵をご覧いただいてお分かりと思いますが、女性がピアノを弾いているにもかかわらず、とにかく無音の世界、『静謐』という言葉がぴったり当てはまります。
この絵もそうですが、彼の絵画に登場する人物の多くは背を向けており、稀にこちらを向いている人物も無表情で感情を読み取ることができません。
また、色彩も色数は限られ、色調も抑えられています。
一見したところはフェルメールとも似ているのですが、フェルメールよりさらに光は少なく、また、フェルメールの絵は見るものにその絵の背面に潜むドラマを感じさせますが、ハマスホイの絵はドラマ性を排除しているという違いがあるように思います。ただ、それはかつてはそこにドラマがあった、あるいはこれからドラマが起こるということなのかも知れません。
とにかく私にとっては1枚の絵をいつまでも心地よく眺めていられるそういう絵でした。
今日は美術館を訪れた時間も開館間もなくで、かなり空いていて、作品と静かに1対1で向き合うことができ、とても良い時間を持つことができました。