ヒューゴの不思議な発明

2012年9月23日日曜日

 先日、蔦屋書店で借りてきて「ヒューゴの不思議な発明」を見ました.

これは映画好きにとってはたまらない傑作だと思います.スコセッジの映画に対する愛情、先人に対する敬愛の念が映画の隅々に出ています.

 そのまま素直に見ても楽しいのですが,まさに創成期の映画、映画人に対するオマージュであるこの作品は、随所に本歌取りのようにかつての作品のイメージが使われており、この部分はこの映画からという風に見ると一層楽しいと思います.

以下、ネタばらしになりますので、まだご覧になっていない方はご覧になってからお読みになった方が宜しいと思います.

 ヒューゴ役の少年は、青い目がきれいで、両親をなくし、叔父の仕事を手伝っているという設定にぴったりのうちに秘めた悲しみを思わせる少年です.一方、相手役の少女は屈託のない対称的なキャラクターで、これも役にぴったりのキャスティングだと思います.

 でも、なんと言っても脇役が凄く、ヒューゴの亡くなった父親役にジュード・ロウ、影の主役パパ・ジョルジュ(=ジョルジュ・メリエス)役にベン・キングズレー、敵役的な鉄道公安官役にサシャ・バロン・コーエン、本屋の主人にクリストファー・リーなどなど脇が固まっています.

 ジュード・ローは高名な2枚目ですが、僕自身はあまり良く知らない役者でこの映画でも比較的印象は薄い感じでした.

 一方、ベン・キングスレーはものすごい存在感で、「ガンジー」で初めて知ってからいつも凄いなと思っている役者ですが、晩年のメリエスの悲しみ、かつての華やかな時期のメリエスの才能、華、幸福を余すところなく表現していました.

 サシャ・バロン・コーエンは初めてこの映画で見たのですが,これもものすごい個性の持ち主で、この鉄道公安官役の孤児としての生い立ちから少し性格が歪んで意地悪かったり、でもナイーブな恋心をもっていたり,というような複雑な性格をうまく表現して存在感を見せていました.追っかけシーンでの動きも素晴らしかったです.

 本屋の主人役、クリストファー・リーはドラキュラ役者として有名で、子供の頃に見た映画では、いずれも冷たい、怖い役をやっていましたが,この映画ではいいお爺さんになっていて、本当にいい年の取り方をしたなと思いました.

 以下、この映画の細部について少し述べます.

1.舞台となる駅のファサードはパリ北駅、右側の時計塔はリヨン駅だそうです。メリエスが実際に玩具店をやっていたのはモンパルナス駅というわけで、これら3つの駅を合成して仮想の駅が作られています.

2.ヒューゴが鉄道公安官に追われて時計塔の針にぶら下がるところはハロルド・ロイドの「ロイドの要心無用」からの引用.

3.夢の中で列車が突っ込んでくるのはリュミエール兄弟の「列車の到着」からの引用.

4.鉄道公安官が花屋の娘に恋してる設定はチャップリンの「街の灯」からの引用。

5.駅のあちこちに貼ってあるポスターはカッサンドルのもの.

6.ヒューゴが線路に降りたときに突っ込んでくる列車はカッサンドルのポスターにある北方急行(Nord Express)。 

7.ヒューゴが最初に鉄道公安官に追いかけられるシーンでカフェのテーブルにサルバドール・ダリとジェイムズ・ジョイスが座っている。楽団のギタリストはジャンゴ・ラインハルト.

8.自動人形の顔はフリッツ・ラングの「メトロポリス」のアンドロイド。

9.鉄道公安官が最後にヒューゴを線路から助け上げるところはヒッチコックの「北北西に進路をとれ」からの引用.

10.鉄道公安官はキーストンコップスを連想させる.

11.ヒューゴが鉄道公安官に追われて逃げる時に車の後部座席を一方から入って反対側に通り抜けるところはチャップリンの「街の灯」からの引用.

 などなど、僕の考え過ぎのところもあるかもしれませんし、気がついていないところが一杯あると思いますが,皆さんも考えてみては如何でしょうか.

 今年見た映画でこれまでのベストワンだと思います.

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