生物と無生物のあいだ

2008年9月21日日曜日

福岡伸一著
生物と無生物のあいだ
講談社現代新書1891 ISBN 987-4-06-149891-4

本日、読み終えた本です.この本は前半は、生物の本質である自己複製能力の源、DNAの発見の物語の裏表を扱っています.特に、ワトソン、クリックの縁の下の力持ちとなったオズワルド・エイブリーの現在まであまり歴史の表舞台に出ることのなかった業績、ワトソン、クリックのDNAモデルのひらめきの直接のヒントとなったX線結晶学者ロザリンド・フランクリンによるDNAのX線写真をめぐる真実の闇の部分などは思わず引き込まれて読み進めてしまいます.
後半は、著者の研究テーマである膵臓内分泌顆粒がどのように細胞内部から細胞外部へ放出されるのかをめぐるドキュメントとなっています.著者はその経験から、生命は機械のように部品の組み合わせで成り立っているのではなく、ひとつひとつのプロセスが、時間的に積み重なっていく、後戻りのできない動的平衡のプロセスであることを述べていきます.
この本は、読んだ後に科学、研究がどうこうということよりも、生物というものの不可逆性、一回性というものに目を開かれる思いがします.NHKテレビ『篤姫』のなかで、乳母であった菊本が「女の道は一本道」という台詞がありましたが、生物そのものが決して後戻りできない運命にあるということを再認識し、これまでともうひと味違った、生命に対するいとおしさを感じさせてくれる好著だと思います.

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